鍛造部品の後処理について③ 鍛造後の表面処理 Ⅰ(ショットブラスト・酸洗い・苛性処理)
熱処理で生じた表面酸化膜等の不純物を、機械的または化学的処理により除去し、綺麗に仕上げます。
バリ抜き、熱処理を行った後、材料表面に生じた酸化膜や付着物を取り除いたり、表面層を改質したりする「除去加工」を行います。
付着物を除去するとともに、表面層の改質も実施
除去加工には、ショットブラスト・酸洗い・苛性処理等があります。
ショットブラスト
機械的な処理方法。回転ドラムの中に鍛造品を入れ、細かい粒状のショット材を圧縮空気等で吹き付けることで表面を削り取り、滑らかに仕上げます。ショット材には、製品材料や目的に応じてSUSカットワイヤーやアルミナ、炭化ケイ素等が用いられています。穴の中など機械的に加工しにくい複雑な形状も、薬品を使用せずに研磨できます。
ショットブラストの目的
- 表面酸化膜の除去
- 表面層の改質
- 表面粗さの均一化
- 塗装・めっきの下地づくり
また、鍛造品同士の衝突による打痕傷を避けるために、「テーブルショット」という方法を取ることもあります。鍛造品をテーブルの上に並べて配置し、テーブルを自動的にスライドさせることで、全体にまんべんなくショットを実施でき、ムラのない仕上りが可能となります。
酸洗い
酸洗いは化学的な処理方法で、製品を塩酸や硝酸に浸けて、表面に付着している酸化物を除去し、洗浄するものです。比較的長時間酸液中に浸漬して厚い表面酸化膜を除去する「ピックリング」と、比較的短時間酸液中に浸漬して、表面酸化膜除去後に生じたさびや薄い表面酸化膜を除去する「酸浸漬」があります。
酸洗い後は、水や湯でよく洗浄し、乾燥させることも重要です。
特に、他の工法に比べ安価で均一に、ステンレス材中のクロムと酸素を反応させ不動態被膜を形成することができます。
酸洗い作業では、製品の表面も腐食してしまうオーバーピックリングに注意が必要です。酸洗いでは主に酸化液槽内にインヒビターと呼ばれる酸洗い抑制剤を加え、表面酸化膜のみを溶解させ、鍛造品の表面に保護皮膜を形成させる方法が取られています。
酸洗いの目的
- 表面酸化膜の除去
- めっきや塗装、切削等の下地処理
- ステンレス材表面への被膜形成
苛性処理
多くの金属は塩酸や硫酸などの酸には溶け、アルカリ性の水溶液には溶けませんが、アルミニウムは酸性溶液にも、アルカリ性溶液にも溶けます(これを両性金属と呼びます)。そこで、アルミニウムにおいては、酸洗いに代えて苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)のアルカリ溶液に浸けて、黒皮を除去することが可能です。
苛性処理の目的
- アルミニウムの表面酸化膜の除去
- アルミニウムの表面層の改質
- アルミニウムの表面粗さの均一化
- アルミニウムの塗装・めっきの下地づくり
ほかにもさまざまな表面処理方法がありますが、どの方法を選択するかは、金属の種類や製品用途によって変わってきます。このように除去加工の表面処理を行ってから、切削加工を実施するのが、通常の加工の流れです。
以上、「除去加工」の表面処理について概説しました。次項以降では、同じく「付加加工」について解説します。
各企業様からのコスト削減相談を無料で行っています
白光金属工業では、製造メーカー様、各企業様からのコスト削減相談を無料で行っています。Teams/Zoom等、オンラインで現行の製造部品を拝見させて頂き、効果的なコスト削減に関するアドバイスを無料で提供させて頂きます。
鋳造部品で課題を抱えておられる担当者様は、お電話またはメールでお気軽にご質問・ご相談下さい。
お電話でのご質問・ご相談は、
こちらへ御連絡をお願いします。
- コスト削減・ご質問ダイヤル(無料)
- 072-241-1888平日|9:00~17:00 土・日曜日・祝日休
メールでのご質問・ご相談は、こちらから御送信下さい。
- メールによる問い合せ
- 入力フォームへ