鍛造事典

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知っておきたい鍛造の基礎知識

鍛造について② 鍛造の種類Ⅰ(金型および変型方式・加工温度)

鍛造は金型を使用する「型鍛造」と、使用しない「自由鍛造」に分かれ、自由鍛造は、大型部品の一品生産に活用されています。

鍛造は、金型を使用する「型鍛造」と、使用しない「自由鍛造」に大別されます。その中で、型鍛造は、加工温度により熱間・冷間・温間鍛造の3種類に分類され、自由鍛造は大型鍛造品等の一品生産に適しています。

金型のほか、変形方式や加工温度によっても分類されます

型鍛造は、上下1組の金型の間に材料を入れ、機械で押し潰して狙った形状に加工する方法です。同一形状の製品を大量生産することに向いており、高い寸法精度を得られ、スピーディーに成形加工を行うことが可能です。ただし、金型製作に初期費用が必要となるため、少量生産には不向きと言えます。また、型鍛造は、その加工温度によって「熱間鍛造」「冷間鍛造」があるほか、それらの中間温度で両方のメリットを得る「温間鍛造」も行われています。

一方、自由鍛造とは、金型を用いず、ハンマーや金敷と呼ばれる表面が平面または曲面の工具を使って材料に圧力を加え、伸ばし・据込み・穴あけ・せぎり・切断等の作業を行って目的の形状に加工する方法です。分かりやすい例では、刀鍛冶が金床の上で槌を振るう日本刀の製作がこの自由鍛造に当たりますが、工業製品では、船舶用クランク軸や発電用タービンローター、原子炉圧力容器、圧延機のロールなど、大型鍛造品等の一品生産に利用されています。

このほか、ボルト成形等のため棒材の先を押しつぶす「据え込み」や、材料または工具を回転させることで成形する「回転鍛造」、円筒物やチューブを作るための「押し出し」等、さまざまな鍛造法があります。

1. 金型による分類

自由鍛造

ハンマーや金敷を使用して成形を行う鍛造方法です。

型鍛造(金型を使用)

金型を使用して成形を行う鍛造方法です。

密閉鍛造

材料を押し切った時、上下の型が隙間なく閉じ、材料が密閉されます。

半密閉鍛造

型の隙間から余分な材料をはみ出させることで、型内に材料を充満させます。

閉塞鍛造

上下の型を閉じて材料を型内に閉じ込めた後、複数の成形ピンあるいは型を動かし、素材を側方に押出して、半径方向に突き出た部分を成形します。

中空鍛造

上下の型を閉じて材料を型内に閉じ込め、さらに成形ピンを挿入することで中空形状を成形します。白光金属工業の独自技術である「熱間中空鍛造」では、水平4方向、垂直2方向から成形ピンを挿入することにより、最大φ120の大口径中空形状を成形。所要材料の大幅低減と、複雑形状の成形及び複数部品一体化を実現しています。

2. 変形方式による分類

据え込み

材料に上下から圧力をかけることにより、その断面積を増やして高さを減少させます。

鍛伸

円柱・角柱・円筒形の材料に上下から圧力をかけ、断面積を減らして長さを伸ばします。

展伸

四角いブロックの材料に上下から圧力をかけることにより、その厚さを減少させ前後左右に伸ばします。

押し出し

パンチの動作方向に対して、材料がどの方向に押し出されるかによって、次の3つに分類されます。

前方押し出し
後方押し出し
前後方押し出し

3. 加工温度による分類

材料の加工温度によって、熱間鍛造・冷間鍛造・温間鍛造・溶湯鍛造に分類されます。

熱間鍛造

材料を約1100~1250℃の再結晶温度以上の高温に加熱し、柔らかい状態で加工。鍛流線が整うため、大型製品や高強度材に最適です。

冷間鍛造

常温で加工を実施します。熱間鍛造より高い寸法精度を得られ、表面は滑らかに仕上がります。

温間鍛造

約600~900℃で加工。熱間鍛造と同様に靱性を高めると同時に、冷間鍛造よりも小さい荷重で鍛造する工法です。

溶湯鍛造

鋳造と鍛造の融合工法。素材を半凝固状態で加圧し、巣の発生を防ぎます。

なお、材質別の熱間鍛造による加熱温度の例は、下記の通りです。

熱間鍛造による加熱温度の例
材質 温度範囲(℃)
鍛造用アルミ 340~480℃
プレス用マグネシウム 240~400℃
鍛造用黄銅 640~800℃
チタン 750~950℃
800~1050℃
炭素鋼 800~1250℃
ステンレス鋼(18-8) 750~1150℃
マンガン鋼 850~1200℃
ニッケル鋼 850~1150℃
ニッケルクロム鋼 870~1150℃
クロム鋼 870~1150℃
ニッケル 850~1250℃
モネルメタル 960~1170℃

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