鍛造について⑦ 鍛造可能な金属材料Ⅱ(鉄鋼材・特殊材)
人類にとって最も身近で汎用性の高い鉄鋼材はもちろん、多様な特性を備えた特殊材も、鍛造することが可能です。
前回に引き続き鍛造加工が可能な金属材料を取り上げます。私達にとって身近な金属のである鉄鋼、そして、優れた特性を備えたさまざまな特殊材の特徴と用途について解説します。
コストや加工性、耐熱性、耐食性等を考慮し、最適な金属材料を選択
産業のあらゆる場面で最も多用されている鉄をはじめ、高強度で超耐熱鋼のインコネル、軽量なマグネシウム等の特殊材の熱間鍛造による加工にも対応。さらに、軽量高強度で錆びないチタンや、耐腐食性の高い純鉄等の難鍛材にも、それぞれの特性に合わせた高度な鍛造技術を駆使することで、高精度な鍛造加工を可能にしています。
鉄鋼材
最も基本的な金属材料である鉄。低コストで、優れた強度と柔軟な加工性を併せ持ち、あらゆる機械の部品として使用されています。鉄に炭素やクロム、モリブデン等の元素を添加することで「鋼」となり、その添加量を変えたり、焼入れ等を行ったりすることで、強度や特性を自由に調整することが可能です。
鉄鋼材の主な鍛造製品用途
- 油圧シリンダー
- 各種産業機械部品
- ポンプ
- コンプレッサー
- シャフト
- 油圧ジャッキ
- クランクシャフト
- ボルト
- 継手 etc...
各種特殊材
耐熱性、耐食性、耐酸化性に優れたインコネルや、アルミニウムよりも軽量なマグネシウム、軽く耐食性に優れたチタン。これらの特殊材は、展延性が低いため、鍛造加工に困難が伴い、金型の寿命が比較的短くなります。同じ温度では金型よりも材料が硬いため、材料の温度を上げ柔らかく、延びやすくすることによって熱間鍛造による加工が可能となります。しかし、温度を上げすぎると表面に酸化膜を生じるため、微妙な温度調整が必要です。各種特殊材は材料費が高価なだけに、切削品を鍛造加工に切り換えることで、大幅なコスト削減を図ることが可能となります。
各種特殊材の主な鍛造製品用途
- サス630:ボルト/シャフト/タービン etc...
- インコネル625:海洋設備部品、高温加熱管および排気システム部品 etc...
- インコネル718:航空宇宙部品や潜水艦などのタービン/ディーゼルエンジン部品 etc...
- モネル400:海洋設備部品、工業用熱交換器、X線機器 etc...
- マグネシウム:自動車部品/PCなどの電子機器/福祉機器 etc...
- 64チタン:航空宇宙部品/医療機器/自転車部品 etc...
- 純鉄:モーター部品/磁気遮断材/電磁石鉄心 etc...
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