鍛造事典

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熱間鍛造について④ 鋳造・ダイキャストに対する優位性

熱間鍛造ならば、鋳造のように内部に空洞が発生する懸念がなく、高い強度と靱性を備えた部品の製造が可能です。

熱間鍛造ならば、鋳造やダイキャストのように内部に空洞が発生する懸念がなく、高い強度と靱性を備えた部品を製造することが可能です。

空洞が発生せず、鍛流線が形成され、強度面で優位な熱間鍛造

鋳造とは、金属を高温で溶かし液状にして型に流し込み成形する工法です。ダイキャストはそれを発展させた工法で、溶融した金属を金型に圧力をかけて注入することにより、高精度の鋳物を短時間に大量に生産することが可能です。砂型鋳造では、製造の都度、型を作る必要がありますが、ダイキャスト工法では、同じ型を何度も使用して製品を大量に生産することができます。例えば、エンジン、トランスミッションなど、自動車関連の部品製造に、ダイキャストが多く用いられています。

では、ダイキャストと熱間鍛造を比較した時のメリット・デメリットは何でしょう。
ダイキャストは、比較的寸法精度を出しやすく、複雑な形状でも大量生産が可能です。しかし、内部にガスが溜まって空洞(す)が発生する難点があります。一方、熱間鍛造を含む鍛造においては、原理上このような空洞は生まれません。

また、熱間鍛造ならば、材料に製品の形状に沿った鍛流線(メタルフローライン)が形成され、粘りや靱性が高まります。しかし、鋳造・ダイキャストでは内部に鍛流線が形成されず、内部組織が不均質で脆弱となります。したがって、高強度・高靱性が必要な部品で、なおかつ形状複雑で大型部品であるほど、熱間鍛造加工によって得られる費用対効果は高くなります。

鋳造、ダイキャストと鍛造の比較
鋳造 ダイキャスト 熱間鍛造
初期費用 ×
ロット 小中ロット 大ロット 大中ロット
加工時間
精度 ×
強度 × ×

このように、加工時間、製品精度の面で有利なダイキャスト工法と、強度および初回金型費用のみで済むことで有利な熱間鍛造、それぞれに特長があります。したがって、サイズ・形状や用途に合わせて、最適な工法を選択することになります。

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