中空鍛造による
＜コスト削減を実現する発注方法＞
中空鍛造とは、材料および切削代の削減を狙いとする鍛造法の一種です。鍛造機において、上下の金型で材料を加圧する際に、成形ピンを差し込むことで部品に中空（空洞）を作ります。これにより、大幅な省材料・省切削化とコストダウンを実現することができます。
製品に差し込む成形ピンの数は、1本とは限らず、複数本を差し込むことが可能です。また、その方向も、「垂直」「水平2方向」、計3方向から差し込むことができます。
部品形状によりますが、1000tプレスクラスのダイセットにおいてこのような中空鍛造を行うことで、材料費を約20％～40％削減することが可能となります。
特に、左右対称の形状は中空鍛造化に適しており、大きな省材料効果が期待できます。 一例を挙げると、こちらの写真の部品は左右対称であり、鍛造時に上からと、左右両側から成形ピンを差し込むことで、40％もの大幅な材料費削減を実現することが可能です。
それでは下記に、メーカーの資材発注・担当者様が、スムーズにコスト削減を実現して頂くための鍛造加工業者選びについて、「質問内容」や「技術確認」ポイントを記載いたします。
【質問内容】コスト削減のための「質問」及び「技術確認」ポイント
- 中空鍛造用のダイセットを持っていますか？
- そのダイセットは、何トンプレスに設置されていますか？
- 真鍮大口径中空鍛造（例えば内径φ120程度)は可能ですか？
- アルミ材の中空鍛造は可能ですか？
コスト削減を図る効果的な発注テクニックについて
熱間鍛造の非鉄には、真鍮・銅・アルミがあり、各材料ごとに専業の鍛造加工メーカーが存在します。そのため、貴社が製造したい部品の材料が例えばアルミであれば、まずアルミ鍛造専業の加工メーカーを探して、「そちらではアルミ材の中空鍛造は可能ですか？」と尋ねてみるのが効率的です。
それでも、約9割以上のアルミ鍛造加工メーカーから「当社では中空鍛造はやっていません」という答えが返ってくるのが実情です。アルミ鍛造加工メーカーの内、自動車部品等の大量生産品を除いては、一般的なアルミ中空鍛造を扱っている業者は数パーセント程度に過ぎません。このことは、予備知識として押さえておくと良いでしょう。
中実品を中空化することにより、
約25%のコストダウンを実現
中実の鍛造品を中空化した事で、
大幅なコスト削減を実現された「ユーザー様事例」をご紹介いたします。
某機械メーカーA社様では、それまで中実鍛造品を使用していましたが、顧客から大幅なコストダウン要請を受け、解決策として中空鍛造化を検討しておられました。
そこで白光金属工業では、切削加工穴に、縦2方向・横1方向に各３か所ずつ、合計9か所に成形ピンを差し込む中空鍛造をご提案。その結果、材料費が20％、切削加工費が30％減少。合計、約25％に至る大幅なコストダウンを実現されました。
導入前
従来は中実鍛造による大型製品であったため、高額の材料費がかかっていました。また、後工程となる仕上げの切削加工においても、大量の切削屑が生じていました。
導入後
中実品を中空化したことにより、使用材料が大幅に削減できました。更に、鍛造工程を終えた段階でほぼ完成品に近い形状となるため、切削箇所や切削量を最小限に抑えられ、切削加工費も大幅に削減する事が出来ました。
更に、切削箇所を最小限に加工する事が可能になり、切削加工費のコストも下げる事が出来ました。
【成果詳細】
中実鍛造品から中空鍛造品へ切り替えた事で、約25%のコストダウンを実現できました。
中空鍛造用金型費は、通常の無垢鍛造品より約２割高価となりますが、材料費と鍛造費の低減及び切削加工時間の短縮効果により、この中空用更新金型費を約半年で回収できました。
また、従来は製品表面から酸化皮膜（黒皮）を除去するために酸洗いを実施していましたが、同等の除去効果が得られるショットブラスト処理への変更をご提案。結果、製品1kgあたりの処理費用についても単価が「半額」になるなど、大幅な削減を実現しました。
相談アドバイスを受付いたします
以上、「プロが教える【実践】鍛造発注マニュアル」では、現状部品のコストダウンを検討されたいメーカーの資材発注・担当者様へ、コストダウンを実現させる実践的なサポートを無料で行っております。
現状既に、鍛造加工業者様とのお取引をされている場合でも、丁寧にアドバイスをさせて頂いておりますので、お気軽にお問合せください。
日本の優れたメーカー様の国際競争力アップを実現させるため、これまで半世紀以上にわたる実践経験や豊富な実績、クライアント様の成功実例を基に、スピーディーにご回答、コストダウンを実現可能にする実践的アドバイスを行わせて頂きます。